新築を建てる際、建物の寿命や住み心地に大きく影響するのが「防水工事」と言っても過言ではないほど、防水加工は大切です。
雨水の侵入を防ぎ、建物内部や構造体を守るために不可欠な加工で、適切な防水対策を行わないと建物が早期に劣化し、修繕費用がかかるだけでなく、住む環境にも悪影響を及ぼす可能性があります。
この記事では、新築を建てる際に気をつけたい防水工事のポイントをまとめました。
防水計画は設計段階から考慮する
新築住宅を計画する際には、設計段階から防水計画をしっかり立てることが重要です。
防水は屋根や外壁、ベランダ、バルコニー、基礎など、あらゆる部分に関連しているため、建物全体を一貫した防水設計で保護する必要があります。
特に、複雑な形状の住宅や、雨風に晒されやすい地域では、防水対策をさらに強化することが求められます。
適切な防水工法の選定
防水工事にはさまざまな工法があり、使用する材料や施工方法によって性能や寿命が異なります。
建物の構造や立地条件、使用目的に応じて最適な防水工法を選ぶことが大切です。
屋根 | 雨水が最も直接当たる場所です。 防水シートを使用するアスファルト防水や、ウレタン防水、シート防水などを組み合わせた施工が推奨されます。 |
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バルコニー・ベランダ | ウレタン防水やFRP防水がよく使われます。シームレスな防水層を形成し、耐水性を確保します。 |
基礎部分 | 土壌からの湿気や地下水の影響を受けやすいため、基礎には防湿シートや防水シートの使用が一般的です。 また、外壁や基礎の立ち上がり部分にも注意が必要です。 |
防水層のシームレスな施工
防水工事の品質を左右するのがシームレス(継ぎ目のない)防水です。
継ぎ目があると、そこが水漏れの原因となりやすいため、できるだけ防水層が一体化している工法を選ぶことが推奨されています。
例えば、ウレタン防水は液体状の材料を塗布して防水膜を形成するため、複雑な形状の場所でもシームレスな防水層を作れます。
雨仕舞(あまじまい)の徹底
雨仕舞とは、屋根や外壁の接合部などから雨水が侵入しないように処理する施工方法を指します。
特に屋根と外壁の取り合いや、窓周り、軒先、バルコニーの立ち上がり部分など、雨水が浸入しやすい場所に注意が必要です。
屋根と外壁の取り合い部 | しっかりとシーリングを施し、防水処理を確実に行う。 |
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窓周りの防水 | 窓枠周囲のシーリングを適切に施す。 新築時のシーリングの質が低いと、数年で雨漏りの原因になります。 |
ベランダ・バルコニーの勾配確認
ベランダやバルコニーでは、適切な勾配(傾斜)をつけて排水がスムーズに行われるようにすることが重要です。
排水口が詰まる、もしくは勾配が不十分だと水が溜まり、防水層の劣化や雨漏りにつながります。
排水口の数や位置、メンテナンスしやすさも考慮しましょう。
屋根の形状や素材選び
屋根の形状や素材によって防水性能が変わります。大雨や強風に耐えられる設計が必要です。
片流れ屋根や勾配の少ない屋根は水が溜まりやすいため、防水層の強化や排水計画をしっかりと行います。
瓦屋根は通気性が高いですが、瓦の間から雨水が入りやすいため、しっかりとした防水シートの施工が必要です。
スレートや金属屋根の場合、材料自体が防水性を持つため、しっかりとした施工で水の浸入を防ぎます。
基礎防水の強化
基礎部分は地面に接しているため、雨水だけでなく地下水や地面からの湿気にも注意が必要です。
基礎コンクリートにひび割れが発生すると、そこから水が浸入しやすくなります。
防湿シートや防水材を用いた基礎防水を施し、特に防湿対策を徹底することが重要です。
信頼できる防水業者の選定
新築時の防水工事は、施工業者の技術や経験によって結果が大きく左右されます。信頼できる業者を選ぶために、以下の点を確認しましょう。
・使われている材料や工法の説明が明確であるか
・保証期間やメンテナンスサービスがしっかりしているか
防水工事後の定期点検
新築時の防水工事が適切に行われていても、経年による劣化は避けられません。
5年ごとを目安に防水層の定期点検を行い、劣化が見られたら補修を行うことが、建物の長寿命化につながります。
特に屋根やバルコニー、シーリング部分のひび割れなどを見逃さないことが重要です。
最新の防水技術や材料の導入
近年では、防水性能の高い材料や工法が次々に開発されています。
例えば、耐久性や防水性能に優れた最新の防水シートや、環境に優しい防水材などがあり、これらを導入することで防水対策をさらに強化できます。
最新技術の導入を検討することも、新築防水工事の成功のポイントです。
まとめ
新築を建てる際の防水工事では、屋根、外壁、バルコニー、基礎部分など、各部位に適した防水対策を行うことが重要です。
防水計画の早期段階での設計、適切な工法と材料の選定、そして信頼できる業者による施工が、台風や大雨などの自然災害に強い家づくりにつながります。
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